2016年 あいさつ

だれもが「共に学び、共に生きる」教育と社会の実現をめざして取り組む私たちにとって、障害者基本法の改正、差別解消法の成立、国連障害者権利条約の批准は、力強い応援の風が心地よく私たちの背中を押してくれるものと期待していました。たしかに今年の4月から差別解消法の本格実施となって、行政や教育機関などでは、「合理的配慮」の言葉が頻繁に使われ研修の場が持たれていると聞こえてきますが、しかし実際の社会を顧みると、「共生」の理想とは逆行する現実が、しかも加速度的に進行しているのでは、と思えて仕方ありません。
 株価の上下に一喜一憂する経済、格差が拡大して貧困層が増える暮らし、効率や成果を求める能力主義、評価主義が社会のいたるところに広がっています。
 学校教育では、インクルーシブ教育の実践と言いながら、特別支援学校や支援学級で「分ける」教育がかたくなに続けられています。
 いま世界では、憎しみと暴力の連鎖がとめどなく広がり、私たちの国も含めて戦争の危機を身近に感じるようになりました。
 しかし私たちは決して焦らずに、ときにはゆっくりと大きな息を吸い込むゆとりを持ちながら、しっかりと足元を見つめて、一歩一歩確かな足取りで歩み続けたいと思います。
 8月27日(土)・28日(日)“「障害児」の高校進学を実現する全国交流集会inおおさか”では、全国から集まった人たちと話を交わし交流することができました。障害のある高校生・元高校生・若い人たちが活躍して、新しい分科会や開会式の司会進行を担当しました。たくさんの学びがありました。
 皆様と出会い、顔を合わせて言葉を交わし、話し合い、いろいろな活動をいっしょに取り組めることを楽しみにしております。