2011年11月30日
大阪維新の会代表 橋下 徹 様 
幹事長 松井 一郎 様
「共に学び、共に生きる教育」日本一の大阪に! ネットワーク
                   (構成団体)知的障害者を普通高校へ北河内連絡会
「障害」のある子どもの教育を考える北摂連絡会
                                    障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議
 高校問題を考える大阪連絡会 等 123団体
代表:鈴木 留美子
 
公開質問状と要望
 
私たち123団体は、貴会の代表橋下さんに知事在職中の10月25日、幹事長の松井さんに府知事立候補を表明された方として11月2日に、「公開質問状」を提出いたしました。お二人とも誠実に回答くださり、ありがとうございました。
私たちの回答に対する見解は、11月16日にそれぞれの事務所にお届けいたしました。
新知事が決定したいま、私たちはお二人の回答を踏まえ、貴会に対してあらためて公開質問状と要望を文書にて提出いたします。
これまで代表と幹事長がお示しいただいたと同様、誠意あるお答えをいただきたく、お願い申し上げます。
なお、回答は文書にて12月5日までにいただけますよう、お願いいたします。
 
回答宛先およびお問い合わせ先は下記のとおりです。
『共に学び、共に生きる教育』日本一の大阪に! ネットワーク
代 表:鈴木留美子 TEL:090-9166-5575 Email: rumikos-suzulann@shore.ocn.ne.jp
事務局:松森 俊尚(まつもり・としひさ)
536-0006 大阪市城東区野江2-11-15
TEL:090-1960-3469  FAX:06-6933-3157  Email:matumori@crux.ocn.ne.jp

 

いただいた回答は、下記ウェブサイトに掲載して公開します。また、構成団体その他のウェブサイト、Facebookなどで転載するほか、マスコミ各社、報道関係者に送付します。
理由なく回答を拒否された場合は、その旨を公表します。
〇『餓鬼者』 http://www15.ocn.ne.jp/~gakimon/
〇『大阪発「ともに学び、ともに生きる教育」情報板』 http://massugu.way-nifty.com/tomonimanabu/
〇『いんくる〜しぶ・は〜つ』 http://blog.goo.ne.jp/kiyoyo_2006
〇mixi『インクルーシブ教育』コミュニティ http://mixi.jp/view_community.pl?id=717176
〇GREE『インクルーシブ教育』コミュニティ http://gree.jp/community/35909
公開質問状
1.  地域の学校で兄弟姉妹や隣近所の友だちと生活したいと願う、障害のある子どもたちの笑顔のために、どのような具体的な施策をお持ちでしょうか?
橋下代表は知事選に立候補された折、大阪を『子どもの笑う街にしたい』とおっしゃいました。貴会としても同じ願いの上に立たれていると拝察するのですが、貴会が提案されている「教育基本条例案」からは、子どもの笑う街や学校の姿が明確には見えてきません。橋下さんが力を入れてこられたという『障害のある子供の教育環境を整備すること』は、結果的には殆どが「分けること」を推進する施策にとどまっています。
先の回答では『共生も重要ですが、自立支援に特化する支援学校も重要』とも書かれています。しかし、「共生」と「自立」は両てんびんにかけるようなものではありません。「共生」こそが「自立」の前提なのです。私たちは『自立支援に特化する』学校は、「子どもたちを分けた上に分ける」ことにつながるのは明白だと考えています。
  
.Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)という『障害者団体の統一スローガン』をどのように評価し、政策・施策に盛ろうとされるのか、あるいはその考え自体を否定されるのか、その理由についてもお答えください。
 
「障害者の権利に関する条約」成立の原動力となった“Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)というスローガンについて、松井さんは
障がい者の権利に関する条約の策定の過程において、障がい者団体の統一スローガンとして使用されたものと理解しています。』
と答えられています。
私たちがお聞きしているのは“Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めるな)という『障害者団体の統一スローガン』をどのように評価し、政策・施策に盛ろうとされるのか、あるいは否定されるのか、です。
「大阪維新の会」として公式に、再度質問の趣旨に沿ってお答えください。

  

3.「障害」のある人たちのように被差別で少数の人たちの声を維新の会の政治に反映させるために、どのような方策を講じようとされているのでしょうか?具体的にお答えください。
 
この質問に橋下さんは
『僕が知事に就任してから教育改革に特に力を入れました。
競争原理の導入や、リーダー養成にも力を入れてきましたが、障害のある子供の教育環境を整備することにも力を入れてきました。「共に学び、共に生きる」という方針の下、共生推進校を3校増加しました。
また、障害の状況や特に、自立支援をしっかりと行うたまがわ学園のような支援学校を増やすため、支援学校の4校増設に着手しました。共生も重要ですが、自立支援に特化する支援学校も重要です。たまがわ学園の就職率は、普通校の就職率を上回るほどの状況です。支援学校にそれだけの支援体制が整っている証です。
また支援学校への通学時間を短縮するために、通学バスを増やしました。』
と答えられました。
しかし、私たちがお聞きしているのは『「障害」のある人たちのように被差別で少数の人たちの声を橋下さんや維新の会の政治に反映させるために、どのような方策を講じようとされているのでしょうか?具体的にお答えください。』です。
お答えいただいたことには敬意を表しますが、質問には答えていただいておりません。これについても質問事項2と同様、大阪維新の会として、質問の趣旨に沿うお答えをお願いします。
(大阪には『たまがわ学園』なるものは存在しませんが、便宜上『たまがわ学園』を使います。)
  
4.「障害」のある子が支援学校ではなく地域の学校へ就学することについて、どのようにお考えでしょうか? そのように考えられる理由もお教えください。
 
この質問に対して松井さんは、
『幼少期においては、地域の学校に通うことが原則と考え、「共生推進校」を今後も整備するべきと考えています。しかしながら、子どもの障がいの状況にも大きく依存します。地域の学校全てに、(例えば、特殊な配慮を必要とする難病といった)障がいをもつ子どもに万全のサポート体制を整備することが限られた教育予算では相当困難であることに鑑み、障がいをもつ全ての子どもを地域の学校で受け入れるのではなく、幼少期であっても支援学校が最適となる場合もありえると考えます。
そして子どもが成長するにつれ、社会へ羽ばたくため「自立」の観点が重要になってきます。障害者の権利に関する条約の原則として、固有の尊厳、個人の自律及び個人の自立を尊重することが掲げられていますが、「自立」を実現するための優れたノウハウを支援学校は有しています。したがって、一律に地域の学校、支援学校と決めつけるのではなく、障害をもつ子どもが自立していく上で最も適切と考えられる環境を選択できる体制を整備することが何より大切と考えます。
教育基本条例案では、教育委員会から学校現場に権限をどんどん移譲させ、地域の各学校の取り組み、支援学校の独自の取り組みがわかるよう情報公開を徹底します。この条例案が成立すれば、障がいをもつ子どもが最も適切な学校はどの学校であるのか、先進的な取組を行う学校の情報をもとに、選択することが可能となります。』
と答えられています。
『幼少期であっても支援学校が最適となる場合もありえると考えます』とありますが、それがどんな場合かについては答えられていません。「自立」を実現するための優れたノウハウを支援学校は有しています』ともありますが、これも具体的にそのノウハウを示せますか?回答からは、「障害」があれば地域の学校への就学は難しいという考えが読み取れますが、それは偏見です。他府県から「不可能」などと言われながらも、大阪の公立学校はあらゆる「障害」のある子どもたちを受け入れてきました。改正された障害者基本法に明確なように、国の方針が「障害」のあるなしで分けない方向に大きく舵を切った今こそ、大阪の「共に学び、共に生きる」教育を堂々と展開し、全国に広めるチャンスではありませんか。
『限られた教育予算では相当困難である』と書かれていますが、実際には支援学校の児童生徒一人当たりの予算は、地域の小中学校の児童生徒の7〜10倍もかかっているのです。
この回答に示されているのは、子どもたちに合わせて学校を整備充実していくのではなく、子どもたちを「障害」によって支援学校に振り分ける施策です。地域の学校と支援学校の格差をそのままにしておいて「自由に学校選択ができる」というのは、あまりにも無責任な行政姿勢と言えます。「障害」のある子どもとその保護者は府民として、校区の学校を安心して通える学校にしてほしいと願う権利もないのでしょうか?改めて大阪維新の会としての回答を求めます 

 

5.「障害」のある子が府立高校への進学を希望した場合、どのような進路保障が適切だとお考えですか? そう考えられる理由もお聞かせください。
 
この問いに対して松井さんは
自立を望む子どもが「自立」を実現できるような教育を提供できる学校を整備することが、子どもたちの「進路」を保証することにつながると考えています。例えば、支援学校のたまがわ学園では、普通校を上回る就職率です。これは支援学校の支援体制が充実している証左であり、自立を望む子どもにとって支援学校がささえとなっていると理解しています。』
と回答されています。
『自立を望む子どもが「自立」を実現できるような教育を提供できる学校を整備することが、子どもたちの「進路」を保証することにつながると考えています』と書かれています。それならばなぜ府立高校をそのような整備の対象としないのですか?
ご推奨の『たまがわ学園』は、この広い大阪府下全域から1時間以上かけて通ってくる生徒がいる高校支援学校です。「障害」のある子の保護者が、「うちの子はとても行けない(合格できない)」とあきらめて帰ってくるエリート校です。『たまがわ学園』の競争率をご存知ですか?一般受験をはるかに上回る倍率が続いています。多くの「障害」生徒たちはその競争率を前に、チャレンジすることさえあきらめなければならない現状があります。『たまがわ学園』は就職に特化した学校ですが、生徒も教職員も、就職という強迫観念に追いつめられています。現在の90%を越える就職率が、このまま持続することは、到底あり得ないと断言できます。
「障害」者が地域で自立して生きていくためには「共生」が大切なキーワードです。そのノウハウは『たまがわ学園』を含む、分けられた支援学校にはありません。「共生」ではなく、分けることを「強制」しているのが支援学校です。就職率だけでなく、競争率や、就職した後の定着率も含めて、実態をしっかりと把握していただきたいと思います。
府立高校の多くは教員がハローワークなどへ足を運んで一般就労にも努めています。さらには4年制大学や短大、専門学校などの進路を歩む障害生徒もいるのです。『支援学校の支援体制が充実している』『自立を望む子どもにとって支援学校がささえとなっている』などは、事実に反します。事実に基づき、再度大阪維新の会としての責任ある回答をお願いします。

 

  
 
貴会と、『「ともに学び、共に生きる教育」日本一の大阪に!ネットワーク』との話し合いの場を早急に設けてください。(可能な限り、年内にお願いします)
 
私たちは、大阪維新の会が、大阪の「共に学び、共に生きる教育」の実践と歴史をどのように評価されているのか、合わせて今後どのように改革されていこうとしているのかを明確にされることを願っています。大阪のすべての小中高等学校を、「障害のある子どもの笑う学校」にするための具体的な政策を知りたいのです。
私たち少数者の声を大阪維新の会の教育改革に具体的に反映させていただくために、お忙しい中ではありますが、ぜひとも時間と場所を設定いただきたく、よろしくお願いします。