JICA研修資料 20140918  片岡 次雄

 

大阪府の公立高等学校

 

A.日本の高校

(1)高校進学率

1950 42.5%

1960 57.7

1970 82.1%

1980 94.2%

1990 94.4%

2000 95.9%

2010 96.3%

2013 96.6

※高等学校等進学率:2013年 98.4

 

(2)後期中等教育機関:高等学校等 ←← 高等学校・特別支援学校高等部・高等専修学校など

 

(3)高校=高等学校

 ほとんどが全日制課程

 ほんの一部が定時制課程・例外程度に少ないのが通信制課程

大阪府の人口:約886万人

大阪府の公立高校は約160校。うち定時制課程約20校、通信制課程1校。

注:大阪の公立高校は学校数が減らされるので、「約」の学校数とした。

大阪府内にある全日制私立高校は95校。他に通信制私立高校7校がある。

注:大阪府内には私立の定時制高校はない。

 

(4)適格者主義(1966年文部省通達)

 高校入試は高等学校教育を受けるに足る資質と能力を判定

 高等学校の教育課程を履修できる見込みのない者をも入学させることは適当でない

注:『Aさんの4年間』にある、「文字を書くことができない」生徒は高校に入学させるべきでないという通達。

 

 

B.大阪の運動

 1978年 大阪府立松原高校に「準高生」が通学

松原高校「MNの会」の取り組みにより、入学試験で不合格になった二人の障害児が、「交流」から始まり、1年生は午後の登校、2年生は全日登校、3年生はクラスで授業を受けるようになった。松原高校の生徒としての学籍はないので「準高生」。

以後、西成高校、柴島高校などで「学籍のない高校生」が誕生。

 

 2006年 大阪府立高校に自立支援コース、共生推進教室が設置される

 

 

 

20142月の大阪府公立高校入試のうちの自立支援コースと共生推進教室

  自立支援コース:大阪府立高校9校 大阪市立高校2

☆自立支援コース=知的障がい生徒自立支援コース

  共生推進教室:大阪府立高校6

  *自立支援コース・共生推進教室とも、療育手帳所持者が受験できる条件

☆「試験」は保護者同伴の面接試験

  *自立支援コース・共生推進教室とも1学年3

  *自立支援コース平均倍率:2.88

   共生推進教室平均倍率2.00

   後期普通科(3月に実施される入試。受験生が一番多い入試)平均倍率:1.23

  *自立支援コースの本校=入学した高校

   共生推進教室の本校=指定された高等支援学校(高等部だけの特別支援学校)

☆日本の特別支援学校は、通常、小学部・中学部・高等部を設置している

2013年度大阪府立高校に在籍する「障がいのある生徒」:2146

 

 

C.高校問題を考える大阪連絡会の運動

 

(1)新万智子さん

 2001年 大阪府立N高校(全日制普通科)不合格

     大阪府立S高校(定時制)不合格

 2002年 大阪府立N高校(全日制)不合格

     大阪府立S高校(定時制)不合格

      N高校の受験者数は定員と同じ(入試倍率1.00)

     万智子さんだけ不合格 

  ※以後の大阪府立高校では「定員内不合格」はなくなる

  ※翌年から入試制度が変わり、全日制普通科と定時制の入学試験日が同じ日になる。

  ※以後2010年までN高校を受験し合計10回の不合格

 2010年 N高校不合格の後、2次選抜でO高校定時制受験、合格

 

※定員内不合格

公立高校の入学試験は必ず定員が設けられる。ほとんどの高校は受験する生徒が定員を超え、不合格になる生徒が必ず出る。

一部の高校で、定員よりも受験する生徒が少ないという、「定員割れ」になることがあり、「定員割れ」してもなおかつ不合格者を出すのを「定員内不合格」という。

定員割れになった場合、入学する生徒は定員より少なくなる。

准高生運動と同時進行で、「せめて定員割れの時は全員合格」、「定員内不合格は出さない」を要求する運動があった。

定員割れした学校と不足する人数について、補充試験を行なうのが2次選抜。

「適格者主義の通達」があるので、大阪府教育委員会は定員割れした場合は全員合格と公式には認めていないが、万智子さんの「定員内不合格」以後は、「定員内不合格」は起こっていない。
 

(2)A.H.さん

 

198512月に生まれる。

4歳の時に在宅、地域の保育園・小学校・中学校を卒業し、高校も卒業。

現在は卒園した保育園で講師をしながら、「一人暮らし」をしている。

 プールでは人工呼吸器が使えない。

Ambu bagで「バクバク」をしながらプールに入っている。

周りの子どもたちにも注目

 

 

 


小学校3年生 社会見学

この頃はノンステップバスもなく、学校手作りのスロープで乗車

 

 

  





高校2年生 北海道修学旅行

 

雪とスキーを体験するのが中心の修学旅行。

Aさんは、そりに乗って「スキー」を体験。

 

 




(3)今年の受験生(写真で説明します)