枚方市に住むユウタロウさんは、人工呼吸器を使う医療的ケアが必要な生徒です。2012年4月支援学校小学部から地域の中学校に入学しました。枚方市では初めてのケースでした。期待に胸を膨らませて入学したのですが、入学後親の付き添いを強要されたり、校外学習で他の生徒と同じバスに乗せてもらえず、悲しい思いをしました。それに伴い本人、保護者は学校と話し合いを持ちますが解決せず、支援者とともに市の教育委員会とも話し合いをするようになりました。「親の付き添いをなくす会」のはじまりです。
話し合いを重ねる中で、校内の授業環境や生活は少しずつ改善されてきましたが、校外での宿泊学習や修学旅行では、リフト付きバスが使えないなど、「親の付き添いなく、みんなと一緒に参加したい」という当然の願いはかなえられませんでした。また、教育委員会は「学校看護師配置要項」を作成して医療的ケア児の受け入れに前向きな方針を示しましたが、実施については親の付き添いを条件とするかのような表記があるなど、会としては納得できないため改正を求めています。同時に対策的な学校看護師配置のための「要項」ではなく、すべての子どもの人権と教育権を保障する「ともに学び、ともに生きる教育」の理念を掲げた、大綱的な「要綱」を作るよう取り組んでいます。
ユウタロウさんは中学校を卒業しましたが、枚方市内の医療的ケアを必要とする子をはじめ、すべての児童や生徒が、親の付き添いなく、みんなと一緒に学び育つことができるよう、現在も定期的に市教育委員会と話し合いを持っています。
<2021年現在“親の付き添いをなくす会”の成果と課題>▼医療的ケアが必要な児童生徒が在籍する市内の小中学校に、すべて看護師を配置する。身分は非常勤。
▼教育委員会に常勤の看護師2名を配置して、各学校の看護師が休みを取るなど不在のときに、学校に派遣して看護師不在の状況を作らない。
▼校外学習や泊を伴う行事にも、必ず看護師が付き添う。実態として、親の付き添いを求められることはなくなっている。
▼「学校看護師派遣要項※ 第6条 5医療的ケアの実施にあたって次の各号に示すことを、保護者の役割として保護者が承知していること」で、特に「(5)児童生徒等の体調不良時や看護師の欠員、並びに看護師のやむを得ぬ休暇の場合等における医療的ケアの実施。」の問題性を教育委員会が認め、訂正を約束させた。しかし、まだ削除や文言の訂正はされていない。
▼修学旅行など、泊を伴う行事において、リフト付きバスの使用が認められていない。理由は、交通費の上乗せ分を他の児童・生徒に負担させることができないと。大阪府教委に対してもバス使用の「差額」負担を要求しているが、実現していない。
▼対策的な学校看護師配置のための「要項」ではなく、すべての子どもの人権と教育権を保障する「ともに学び、ともに生きる教育」の理念を掲げた、大綱的な「要綱」を作るよう求めている。
▼「ともに学び、ともに生きる教育」の目標と、共に学び合う子どもたちの姿を掲載した、パンフレットを枚方市民に配布するよう求めている。
▼就学相談にあたっては、まず地域の小中学校をすすめることを確認している。
▼障害のある子もない子も、全ての家庭に地域の小中学校の就学通知を送るように、求めている。
▼私たちの会から具体的に要望を上げたものではないが、枚方市においては、支援学級籍の児童・生徒も普通学級籍の定数として数えることになっている。「ダブルカウント」の実施。
▼“親の付き添いをなくす会”と、枚方市教育委員会との話し合いを、定期的に開催している。年間2〜3回。
※教育委員会との話し合いの経過や、私たちの会の活動の詳細については、下記からご覧ください。
枚方市立学校園における学校看護師配置要項 2015年8月26日から施行 「枚方市立学校園における学校看護師配置要項」の問題点 私たちの態度 活動経過報告 これまでの成果と課題 教育委員会との交渉記録を中心にユウタロウさんの中学校入学から、高校卒業まで
工事中!!
中学1年生(2012年4月〜 支援学校小学部卒業後地域の公立中学校に入学)
中学2年生(2013年4月〜 )
中学3年生(2014年4月〜 )
高校1年生(2015年4月〜 大阪府立高校定時制に入学)
高校2年生(2016年4月〜 )
高校3年生(2017年4月〜 )
高校4年生(2018年4月〜 )
各地の「学校看護師配置」に関わる「要項」あるいは「要綱」、チラシなど
・箕面市たより
・豊中市就学相談案内
・大阪市・学校宛「障がいのある子どもの就学(進学)について 大阪市教育委員会現在の活動経過 ユウタロウさん高校卒業後